工場の配管設備において、静電気対策は安全管理上の最重要課題の一つです。フランジアース(アースボンド)は、フランジ間で分断された配管の電気的連続性を確保し、静電気を安全に大地へ逃がすための重要な部品です。静電気の火花放電は、可燃性流体を扱うプラント等で火災や爆発を引き起こす原因となり、その対策は必要不可欠です。
本記事では、フランジアースの基本的な役割から、静電気対策の重要性、正しい取付方法、選定のポイント、そして株式会社いわいのアースボンドが選ばれる理由と具体的な製品・導入実績まで、詳しく解説いたします。
フランジアースとは?
フランジアースは、配管同士を接続するフランジ部で生じる電気的な断絶を補い、配管全体の電気的連続性を確保するための専用部材です。一般には「アースボンド」「ボンディングワイヤ」「フランジボンド」と呼ばれることもありますが、いずれも目的は同じで、配管内に蓄積した静電気を安全に大地へ逃がす役割を担います。
配管で電気的断絶が生じる理由
金属配管は本来、電気を通す構造ですが、以下の要因によりフランジ部で導通が途切れることがあります。
- ガスケットの絶縁性
フランジ間に挟まれるガスケットは密封性を確保するため、非導電性の素材が使用されることが多く、電気の流れを遮断しやすい。
塗装や腐食の影響
フランジ表面の塗膜や錆は導通を妨げ、局所的な電位差を発生させる。 - ボルト締付け状態のばらつき
締め付けの不均一により、フランジ接触面が十分に導通せず、静電気が滞留することがある。
静電気リスク
フランジ部でわずかな電位差が生じると、配管内外に静電気が蓄積し、可燃性流体を扱う現場では火花放電のリスクが高まります。特に以下のような状況で静電気が発生しやすいです。
- 流体が高速で流れる場合
- フィルターやバルブを通過する場合
- 攪拌やポンプ運転による摩擦が生じる場合
電荷が行き場を失うと、局所的な放電や火花が発生し、重大事故の原因となる可能性があります。
フランジアースの役割
フランジアースは、フランジ同士を電気的に結びつけ、電位差を均一化することで、蓄積した静電気を安全に大地へ逃がします。また、適切な設置により以下の効果も得られます。
- 定期点検での導通測定を安定させる
- 設備全体の静電気管理を容易にする
- 配管材質やレイアウトにかかわらず、電気的連続性を確保
フランジアースの構造はシンプルですが、安全性と設備信頼性を支える重要部品です。現場での静電気リスクを低減し、配管アース対策の基本を支える存在として、欠かせない役割を担っています。
なぜ配管にフランジアースによる静電気対策が必要なのか?
プラントや製造現場では、可燃性や引火性のある流体を扱うケースが多く、わずかな火花放電でも重大事故につながる危険があります。施工担当者としては、フランジアースの設置は単なる配線作業ではなく、現場の安全性を直接左右する重要な工程です。
フランジ部での静電気発生の注意点
フランジ部は、電気的に断絶しやすく、局所的な電位差が発生しやすい箇所です。現場では以下の要因に注意してください。
- ガスケットの絶縁性
非導電性のガスケットが挟まれている場合、電気の流れが遮断されやすい。施工時にフランジアースの端子が確実に接触する位置を確認することが重要です。 - 塗装・腐食の影響
フランジ表面の塗膜や錆は導通不良の原因。研磨や脱脂で金属面を露出させてから接続します。 - 締付け状態のばらつき
ボルトの締め付けが不均一だと導通が不安定になります。端子取り付け前にフランジの締付け状況を確認し、必要に応じて調整してください。
現場での設置例
施工時には、以下のようなポイントを押さえると安全かつ効率的です。
- 端子の取り付け位置
フランジボルト近くで、作業者が安全に取り付け可能な場所を選定 - ワイヤの形状
配管運転や保守作業の邪魔にならないループ形状に整形し、配線クリップで固定 - 接続確認
施工後に導通計測器で確認し、所定の基準値内であることを記録
フランジアースの効果
フランジアースは以下の役割を果たします。
- フランジ間の電位差を均一化し、静電気を安全に大地へ逃がす
- 火花放電リスクを低減し、可燃性雰囲気下での事故防止
- 設備全体の安全管理基準、法令、業界ガイドラインへの適合を支援
- 定期点検時の導通測定や保守作業の効率化に寄与
施工担当者が正しい手順で設置することで、現場の安全性を長期的に維持でき、配管設備の信頼性向上にも直結します。フランジアースは現場の静電気対策における基本かつ必須の部材であることを理解し、慎重かつ確実に施工することが求められます。
フランジアースの正しい取付方法
フランジアースの取付は、静電気を確実に大地へ逃がすための重要な工程であり、安全性と導通確保の両面で厳格な手順が求められます。以下では、現場で押さえるべきポイントを段階的に整理します。
1. 施工前の準備:フランジ接触面の清掃・確認
施工前に、まずフランジ接触面の状態を入念にチェックします。導通不良の多くは「表面の汚れ」が原因で発生します。
- 塗膜・錆・油分の残留
→導通を阻害する最も多い要因。 - 対処方法
- ワイヤブラシやサンドペーパーで研磨
- 脱脂剤で油分を除去
- 金属光沢が見える状態まで仕上げる
- 確認ポイント
- 端子が当たる部分に凹凸がないか
- 腐食による導通ムラがないか
清掃後、フランジ面が均一で清潔であることを目視で確認し、問題がなければ接続点の選定に進みます。
2. アース接続点の選定
フランジアースは、どこに取り付けるかによって導通の安定性が大きく変わります。
- 推奨位置:フランジ締結ボルト近傍の金属露出部
- 選定時のポイント
- 作業者が手を入れやすく、安全に作業できること
- 機器の運転や点検の妨げにならない位置
- 配管振動の影響が少ない箇所
不適切な位置に取り付けると端子が緩む原因となり、後日の導通不良につながります。
3. アースボンドの取り付け
続いて端子をフランジに取り付けます。この工程は静電気対策の要となる部分です。
- 端子の固定
- 端子はフランジ面に確実に噛ませる
- 振動でずれないよう確実に締め付ける
- 注意すべきポイント
- ガスケットの材質(非導電性・高耐圧など)
- フランジボルトのトルク設定
- 過度な締め付けはガスケット破損の原因
- よくある施工不良例
- 塗膜の上から端子を挟んで導通が出ない
- 端子位置が悪く、ボルト締付時に変形する
- トルク過大でガスケットが損傷する
こうしたリスクを避けるため、施工時には締め付けトルクの管理も重要です。
4. 導通確認と固定処理
施工が完了したら、導通確認を必ず行います。
- 計測機器
- 絶縁抵抗計
- 導通計(テスター)
- 確認ポイント
- 導通値が基準内であるか
- ワイヤの取り回しが配管運転に干渉しないか
- 配線クリップや絶縁固定具で確実に保持されているか
特に、ワイヤの保護ループが他の配管や機器に接触していないかを確認することが大切です。振動による摩耗を防ぎ、長期安定した導通を維持できます。
正しい施工手順に従えば、フランジ部の電位差を確実に均一化でき、静電気による火花放電リスクを大幅に低減できます。フランジアースはシンプルに見える部材ですが、現場の安全を左右する重要な要素であり、施工担当者の確実な作業が設備全体の信頼性向上につながります。
フランジアースを選定する際の3つのポイント
フランジアースを選定する際には、現場の安全性と導通確保の観点から、以下の三つのポイントを押さえることが重要です。
1. 導体断面(太さ)
フランジアースの導体断面は、配管に蓄積される静電気や万一の短絡電流、火花放電のエネルギーを安全に逃がすために十分な太さを確保する必要があります。断面が小さいと導通不良や過熱の原因となり、設備全体の安全性が損なわれます。選定の際には、以下の点を確認してください。
- 想定される最大電流や放電エネルギーに対応できる断面積か
- 現場で定められた電気規格や安全基準に準拠しているか
- 計算上、余裕を持ったサイズが選定されているか
これらを踏まえて余裕をもった断面を選ぶことで、万一の放電時も安全に電荷を逃がせます。
2. 端子形状と長さ
フランジや配管の構造は現場ごとに異なるため、端子の形状や長さが適合することが施工性と安全性を左右します。規格品で合わない場合は特注品の検討も必要です。選定の際のポイントは以下です。
- フランジのボルトや配管レイアウトに合わせた長さ・角度になっているか
- 特注により無理なく取り付けが可能か
- 施工時にフランジやガスケットに過度な負荷をかけない設計か
適切に設計された端子は、導通の安定性を確保するとともに、施工のしやすさや耐久性向上にもつながります。
3. 耐環境性
フランジアースは設置環境によって劣化のリスクが変わります。屋外や薬液飛散、高温多湿など過酷な条件下でも安定して導通を維持するために、耐環境性の確認が必須です。選定の際に確認すべき点は以下です。
- 使用環境に応じた防錆処理や被覆材が採用されているか
- 塩害や腐食が想定される場合はステンレス製や特殊被覆品を選択しているか
- 長期にわたり安定した導通を維持できるか
これら三つのポイントを総合的に考慮することで、現場の条件に最適化されたフランジアースを選定でき、静電気対策の確実性と配管設備の安全性を高めることが可能です。
現場で「この長ささえ合えば…」「今日中に必要なのに…」と感じたことはありませんか?
いわいのアースボンドなら、そんな“現場ならではの困りごと”に確実に応える体制があります。
いわいのアースボンドが選ばれる理由
株式会社いわいのアースボンドが多くの現場で採用されている背景には、単に部材を提供するだけではなく、現場課題に合わせて最適解を提案・供給できる総合力があります。配管アースは安全性に直結する要素であり、「長さが数センチ足りない」「端子角度が合わない」「今日中に必要」など、現場特有の困りごとが発生しやすい領域です。いわいは、こうした状況に柔軟に応えられる体制を構築しており、その強みは以下の4点に集約されます。
【特注対応】規格品では合わない長さ・形状を1本からオーダーメイド対応
プラントや工場の配管は、設計段階の図面と実際の施工後のレイアウトが異なることが珍しくありません。そのため、市販されているアースボンドでは取り回しが合わず、無理な曲げ加工を現場で行ったり、ケーブルが干渉したりするケースが発生します。
いわいのアースボンドは、
- 図面、現場写真、寸法情報からの特注製作
- 1本から製作可能
- 端子角度、左右向き、長さ調整にも柔軟対応
上記のような特徴を持ち、現場加工を最小限に抑えられます。
これにより、施工時間の短縮・誤施工リスクの低減・安全性の向上につながり、結果としてトータル工期の効率化に貢献します。
【短納期】自社製造だから可能な最短即日発送で、急な現場需要にも対応
自社製造による最短即日発送で、急な現場トラブルにも対応可能。
設備工事では「今日中に必要」「明日の朝には現場で使いたい」という突発ニーズが頻繁に発生します。通常、アースボンドの特注製作は数日〜数週間かかることが一般的ですが、いわいは自社工場での一貫生産体制により、短納期対応ができます。
- 最短即日発送の実績
- 翌日着の緊急対応事例も多数
- 在庫品のスピード出荷にも対応
この体制が、工事スケジュール遅延の防止や突発トラブルへの迅速なリカバリーを実現し、現場担当者や施工管理者から高い評価を得ています。
【品質保証】徹底した品質管理体制が実現する、アースボンドの高い信頼性
素材選定から端子の圧着、被覆処理まで一貫した品質検査を実施。導通検査や引張試験、耐食性評価などの品質保証プロセスを経ることで、長期にわたる安定した導通性を担保します。
いわいでは、
- 導体素材の選定評価
- 端子圧着の強度管理(引張試験)
- 導通検査の全数実施
- 耐食性・耐候性の確認
など、多段階の品質保証プロセスを組み込んでいます。現場での再施工を減らすことが、結果的にトータルコストの削減につながります。
この体制により、長期間にわたる安定した導通性や再施工やトラブルの発生防止が実現し、結果としてユーザー側のメンテナンス負荷や総コストを削減します。
【提案力】商社としての知見を活かした、コストと安全を両立する提案力
いわいは製造だけでなく商社としての納入実績と現場知見を持ち合わせています。配管材質、運転条件、設置環境を踏まえた最適な仕様提案により、過不足のない製品選定が可能です。コスト面でも標準品と特注品の最適な組み合わせを提案し、全体コストを抑えつつ安全性を確保します。いわいの強みは「作るだけ」ではありません。豊富な現場実績と商社としての知見に基づき、以下の視点から最適な仕様提案が可能です。
- 配管材質(ステンレス、炭素鋼、樹脂ライニングなど)に応じた導体選定
- 運転条件や静電気リスクを踏まえた断面・長さの提案
- フランジ構造や設備配置を考慮した端子形状の最適化
- 標準品と特注品の最適組み合わせによるコスト最適化
これにより、ユーザーは過不足のない製品選定ができ、安全性の向上や調達コストの抑制
の両立が可能となります。
アースボンドの製品・導入実績をご紹介!
いわいのアースボンドは幅広い産業分野で採用されており、導入実績は化学プラントや石油精製設備をはじめ、食品プラント、製薬ライン、上下水処理施設まで多岐にわたります。これらの現場では、配管の材質・構造・設置環境が大きく異なるため、アースボンドには高い適応力と信頼性が求められます。いわいはこの要求に応えるため、豊富なラインナップと特注製作体制を整え、実運用に即した最適な製品を提供してきました。
主な導入例として多いのは、大口径配管用の長尺タイプです。化学プラントでは50A~600Aを超える配管が混在することが一般的であり、
- 必要長さの調整
- 端子角度の最適化
- 現場専用の特注仕様
といった対応が不可欠になります。いわいでは現場写真や図面をもとに端子位置をミリ単位で調整し、施工時の取り回し改善や作業時間の短縮に貢献しています。
さらに、狭小スペース向けの端子角度変更品も高評価を得ています。既設設備が密集する現場では既製品がボルトや壁面と干渉し施工が難航する場合がありますが、いわいは端子角度を15度・30度・45度など細かく加工することで、
- 無理のない配線ルートの確保
- 確実な導通と安全性の両立
を実現しています。
また、腐食性の強い環境向け仕様も充実しており、ステンレス被覆や耐薬品性に優れた材料を採用したアースボンドを提供しています。石油精製設備や下水処理施設など、湿気・薬品・高温が重なる過酷環境でも、導通低下や腐食による断線リスクを抑え、長期運用での劣化抑制やメンテナンス頻度の低減につなげています。
実際の導入現場では、既存配管の接触抵抗が高く点検時にアラームが頻発していたケースで、いわいのアースボンドを設置したところ導通値が大幅に改善し、その後の定期点検で警報がゼロになったとの報告もあります。さらに、施工後の導通測定データや担当者レビューを蓄積し、製品改善や新仕様開発に活かすことで、より実効性の高い製品提供を継続しています。
このように、いわいのアースボンドは多様な現場条件に対応し、確かな導通性と高い施工性を両立することで、多くのユーザーから確かな信頼を獲得しています。
配管アースボンドのことなら、株式会社いわいにお任せください
工事現場における配管アースは、安易に済ませて良い項目ではありません。確実なフランジアースの施工は、現場の安全と法令順守を支える基礎です。いわいは現場の「困った」を解決するために、1本からの特注対応、短納期出荷、厳格な品質管理、そして現場に即した提案力で支援します。製品選定や現場での取付方法に不安がある場合は、現場写真やフランジ図面をお送りいただければ、具体的な選定案と施工上の注意点を含めた提案を速やかにご提供します。安全対策は早めの相談が有効です。配管アースに関するご相談はぜひ株式会社いわいへご連絡ください。